DXの費用対効果は「測れない」は嘘?ROI計算方法と効果測定の6ステップ
「DXの費用対効果の測り方が分からない…」
「数値での評価方法が分からず、DX推進をためらってしまう…」
DX推進のための投資は決して安価ではないため、目に見える効果が出るのか不安になり、意思決定を先送りにしてしまう経営者も少なくありません。
この記事では、DX投資の費用対効果を数値で評価するための6つのステップを解説します。
紹介するステップに沿って整理すれば、DX推進の費用対効果を明確に測定できるようになります。
費用対効果を明確に測定できれば、DX推進に投資すべきかどうかを自信を持って判断できるようになるでしょう。
記事監修者

DX開発パートナーは、20年以上の実績を持つリーダーを中心に、
多様なバックグラウンドを持つ若手コンサルタント、PM、エンジニアが連携するチームです。
柔軟で先進的な発想をもとに、DXの課題発見からシステム開発・運用までを一貫して支援しています。クライアントの「DX・システム開発」に関する課題やお悩みをもとに、役立つ情報を発信しています。
DXの費用対効果の測定方法と目安数値

ここでは、DX投資の「モノサシ」となる基本的な費用対効果の測定方法を整理します。加えて、判断基準となる目安の数値を専門家の視点から解説します。
費用対効果(ROI)とは?DX投資における基本概念
費用対効果を測る最も代表的な指標が「ROI(Return On Investment:投資利益率)」です。
ROIとは、投じた費用に対してどれだけの利益を生み出したかをパーセンテージで示す指標です。
従来のIT投資(例:サーバーの入れ替え)は、「コスト削減」が主な目的でした。
一方、DX投資は業務効率化だけでなく、「ビジネスモデルの再構築」「新たな顧客価値の創出」といった収益機会を生み出す点が大きな特徴です。
中小企業庁「2024年版中小企業白書」では、DXに取り組む企業がまず期待する効果として「業務効率化(44.5%)」「人件費等の削減(30.3%)」「業務プロセスの改善(30.0%)」といった効率化が上位を占めています。
一方で、売上向上の効果が出ている企業は「既存製品・サービスの価値向上」や「新製品・サービスの創出」など、高付加価値の取り組みにも成果を感じている点が特徴です。
多くの企業はDXをコスト削減のための投資と認識しがちですが、成熟度の高い企業ほど新たな収益源を生み出す投資としてDXを活用していることが分かります。
ROIの計算式と結果の見方
ROIの計算式は非常にシンプルです。経営者であれば、ROIの計算式は必ず押さえておくべきでしょう。
- ROI(%)=(利益額÷投資額)×100
- 利益額=投資によって得られた効果(コスト削減額+売上増加額など)
- 投資額=DXにかかった総費用(初期費用+運用費用+人件費など)
例えば、800万円を投資して新たな在庫管理システムを導入したとします。
- 効果:在庫管理の工数削減(年間200万円)、過剰在庫の削減(年間300万円)
- 利益額:200万円+300万円=500万円
- 投資額:800万円
この場合のROIは「(500万円÷800万円)×100=62.5%」です。
DXでは、ROIのみを評価基準とするのではなく、複数の施策を比較して最適な投資先を選定する視点が求められます。
利益率・回収期間・業務改善幅を比較し、「限られた資金をどこに配分すべきか」を明確にすることで、経営判断の質を高められます。
DXで得られる定量・定性効果
費用対効果を計算する際、効果を「定量(数値化できるもの)」と「定性(数値化しにくいもの)」に分けて考えてください。
| 種類 | 内容の例 | ROIへの算入方法 |
|---|---|---|
| 定量効果 | 工数削減、作業時間短縮、ミス削減、運用コスト削減 | 時給 × 削減時間、削減コストの年間換算 |
| 定性効果 | 満足度向上、離職率改善、ブランド価値向上、顧客体験向上 | 離職コスト削減、LTV改善、CPA改善などに換算 |
中小企業白書でも、DXに取り組む企業の多くがまず「業務効率化」や「コスト削減」といった定量効果を期待していると示されています。
一方で、DXの取組段階が進んだ企業ほど「既存製品・サービスの価値向上」や「新製品・サービスの創出」といった定性的な効果にも注目していると分析されています。
投資判断では、短期のコスト削減だけを重視するのは危険です。定性効果をどこまで数値に落とし込めるかが、DX投資の成否を大きく左右します。
定量効果
定量効果とは、コスト削減や業務効率化などの数値化しやすい効果のことです。
具体例は以下のとおり。
- 人件費の削減(例:RPA導入で月50時間の作業を自動化→50時間×時給×12ヶ月)
- 運用コストの削減(例:クラウド移行でサーバー維持費を年間100万円削減)
- ミスによる損失削減(例:入力ミスによる手戻りコストを年間50万円削減)
特に人手不足が続く中小企業では、工数削減によって「増員せずに業務量を維持・拡大できる状態」をつくれる点も、大きな投資対効果と言えます。
定性効果
定性効果は「数値化が難しい」と言われますが、実務ではほぼすべて数値化できます。
具体例は以下のとおり。
- 顧客満足度向上 → 解約率低下 → LTV向上
- 従業員満足度向上 → 離職率低下 → 採用・教育コスト削減(例:1名100万円)
- ブランド価値向上 → 新規獲得単価(CPA)低下
定性効果を数値に落とし込めないまま判断してしまうと、DX投資の本来の価値を見落としてしまいます。
また、DXは業務標準化を進める効果もあります。
担当者によって作業品質が異なる属人化を抑制し、業務のばらつきをなくすことで、長期的な生産性の安定につながるでしょう。
投資回収期間(Payback Period)の考え方と計算例
ROIとセットで確認すべきなのが、「投資回収期間(Payback Period)」です。投資回収期間とは、投資した費用を、何年で回収できるかを示す指標です。
「投資額÷年間のキャッシュフロー(利益額)」で計算できます。
ROIと同じ例(投資額800万円、年間の利益額500万円)で投資回収期間を計算してみましょう。
投資回収期間:800万円÷500万円=1.6年
つまり、このシステム投資は約1年半で元が取れる、という計算になります。
中小企業の経営判断では、投資によって得られる利益を示すROIの把握が欠かせません。
同時に投資額の回収年数を示す回収期間も確認することで、キャッシュフロー負荷を適切に評価できます。
DX投資は何%なら“合格”なのか?ROIの目安
「結局、ROIは何%なら投資すべきなのか?」という質問は、私たちがコンサルティング現場で最も多く受ける質問の一つです。
結論から言えば「すべての企業に共通する絶対的な合格ライン」は存在しません。しかし、判断の目安はあります。
IT投資のROIに関して、KPI Depotは「20%を超えると強いパフォーマンス」と示しています。
KPI Depotの基準から見ると、3〜5年で投資回収できるROI20〜33%は実務上の妥当なラインと言えるでしょう。
なお、ガートナーの2024年調査では「ビジネス目標を達成した、あるいは上回った」と評価されたデジタル施策は48%にとどまったと報告されています。
成果を十分に出せるプロジェクトは半数弱であるため、事前にROIや投資回収期間を数値で設計し、「どの施策に資金とリソースを集中させるか」を見極める視点が不可欠です。
実際の事例:DX投資でROIを高めた企業の例
DX投資は業務効率化だけでなく、在庫最適化や工程管理の改善によって、投資対効果(ROI)を大きく引き上げています。ここでは、3つの事例を紹介します。
弊社実績:カード会社 | 業務自動化によりROI995%を達成
某カード会社に対し、UiPathを活用した業務自動化(RPA導入)支援を行いました。
従来、内部システムの手動操作や判断業務に多くの工数を割いており、属人化や業務負荷の増大が課題でした。
本支援では単なる自動化にとどまらず、データ分析に基づく業務統合までを包括的に推進しました。
「RPA導入の枠組み(自動化→横展開→処理データの可視化・蓄積(データマート構築)→業務統合)」を推進した結果、以下の効果が得られています。
- 投資対効果:直近ROI 995%を達成し、極めて高い効果を創出(削減工数・人件費ベースで算出)
- 業務プロセスの最適化:「システム改修・RPA・ハイブリッド」の最適な使い分け基準を確立
- 運用管理の適正化:効果の低い業務や特殊な「例外業務」を明確に区分し、管理コストを抑制
弊社では、本事例のように成果につながる業務整理から着手する導入支援を行っております。
貴社業務における自動化・効率化の可能性について、まずはお気軽にご相談ください。
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日酸TANAKA株式会社|棚卸工数の75%削減・年間340万円のコスト改善
金属加工機器メーカーの日酸TANAKA株式会社では、棚卸作業が年2回必要でした。
棚卸作業の際、生産ラインを停止しながら「2日×複数名」で棚卸を実施しており、年間約500万円の機会損失が発生していました。
在庫管理を自動化するスマート棚卸システムを導入した結果、以下の効果が得られたようです。
- 棚卸工数:6人×1.5日へ短縮(約75%削減)
- 年間コスト削減額:約340万円
投資額は非公開ですが、投資額を仮に600万円と仮定すると、ROIは56.6%、投資回収期間は1.7年となります。
引用元:SmartMatCloud
ワークマン|AI発注により作業時間93%削減・在庫最適化を実現
全国のワークマン店舗では、1店舗あたり約10万SKUの商品を店長が毎日手入力で発注しており、1日30分の作業が常態化していました。
AIによる自動発注システムを導入したことで、以下の定量・定性効果が生まれています。
- 発注作業:30分 → 2分(93%削減)
- 欠品率の低下
- 不良在庫の削減
投資額は公開されていませんが、同規模のAI発注システムを想定して投資額を5,000万円と仮定します。
作業時間削減や在庫最適化による年間便益を3,000万円とすると、ROIは60%となり、投資回収期間は約1.7年です。
引用元:IT Leaders
DX推進段階における費用目安と内訳

ROI(費用対効果)を計算するうえで、まず費用を正確に把握してください。費用の見積もりを誤ると、ROIの計算がすべて崩れてしまいます。
「DX」と総称しても、目的や進行段階によってコスト規模は大きく異なる状況です。
ここでは、経営者として押さえておくべき「費用の相場観」と「具体的な内訳」を解説します。
DX推進における段階別のコスト
DXの成熟度は、経済産業省やIPAの資料でも示されているように、一般的に次の3段階に整理できます。
第1段階:デジタイゼーション(部分的な電子化)
紙の書類をPDF化したり、Excelによる管理をSaaSツールに置き換えたりするなど、アナログ業務をデジタルに置き換える段階です。
導入にかかるコストは数十万円〜数百万円ほどで、例えば勤怠管理ツールやWeb会議システムの導入がこのフェーズに含まれます。
第2段階:デジタライゼーション(プロセス全体の最適化)
特定の業務プロセス全体をデジタルで完結させ、効率化を図る段階を指します。
特に受発注や請求処理など、複数部門が関わるワークフローはデジタル化の効果が大きい領域です。
どの工程を自動化し、どの工程を人が判断するのかを整理することで、改善効果を最大化できます。
例えば、受発注から在庫管理、請求までを一気通貫でデジタル化するイメージです。
導入コストは数百万円〜数千万円ほどで、SFA/CRMの導入や、基幹システム(ERP)の刷新がこのフェーズに該当します。
第3段階:デジタルトランスフォーメーション(ビジネス変革)
デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルやサービスを生み出し、事業そのものを変革します。
例えば、データ分析を基にした新サービスの開発や、IoTを活用した製品のサブスクリプション化などに当たる内容です。
導入コストは数千万円〜数億円以上となり、極めて大きな投資規模となる段階です。
多くの中小企業が「DX」と認識している内容の多くは、第1段階と第2段階に該当します。
まずは自社の取り組みがどの段階なのかを把握することが重要です。
DX推進にかかるコストの内訳
ITベンダーの見積もりを精査するためにも、コストの「内訳」を理解しましょう。
DXの費用は、大きく以下の3つに分類されます。
- システム導入費(初期費用)【例:SaaSツールの初期設定費など】
- システム運用費(ランニングコスト)【例:SaaSツールの月額利用料など】
- 人件費・人材育成費(隠れコスト)【例:DX推進担当者の人件費など】
特に「人件費」は、ベンダーの見積書に載らないケースがほとんどです。
しかし、投資対効果を厳密に計算する上では、人件費や人材育成費も含めて「総投資額」として捉える視点が、経営者には不可欠です。
また特定ベンダーの独自仕様に過度に依存すると、ベンダーロックインが発生します。
ベンダーロックインが発生すると、将来的な乗り換えコストや追加開発費が増加し、費用対効果を悪化させる要因になります。
DXの費用対効果の測定ステップ

DXの費用対効果は以下のステップで測定できます。
| ステップ | 内容 | 具体的にやること |
|---|---|---|
| 1 | 現状の評価 | 現行工数・作業時間・ミス・人件費・機会損失を棚卸し |
| 2 | 目標設定(To-Be) | 削減したい工数・改善したい業務・KPIを数値で設定 |
| 3 | 効果試算(数量ベース) | 削減できる時間・件数などを“数量”で算定 |
| 4 | コスト計算 | 初期費用・運用費・人件費・育成コストを合算 |
| 5 | 利益計算 | 数量ベースの効果を金額に換算 |
| 6 | ROI・回収期間算出 | ROI%と回収年数を計算して投資判断 |
この手順に沿って数字を当てはめるだけで、誰でも論理的な投資判断が可能になるでしょう。
1.現状の評価
DXの効果を正しく測定するためには、業務の現状を数値で把握する作業が欠かせません。
スタート地点を明確にしなければ、改善幅を判断できず、投資判断も曖昧になるでしょう。
作業時間や担当者の負荷を定量化すれば、業務のどこがボトルネックかを明確にできます。
手入力作業の月間工数や、入力ミスによる手戻り時間を把握すれば、改善後の効果を数値で比較が可能です。
業務負荷と課題を数値で可視化する工程が、DXの投資判断と効果測定の基盤となります。
自社のDXの成熟度を客観的に把握する手段としては、IPAが公表している「DX推進指標」を活用する方法もあります。
自己診断フォーマットに沿って現状をスコアリングしておくと、DX投資の優先度や投資範囲を検討する際の基準として役立つでしょう。
2.目標設定
現状を把握したら、次に「目標設定(To-Be)」を行います。
DXで改善したい数値を明確にし、どの水準まで引き上げるかを定義してください。
目標設定では、改善後の状態を具体的かつ測定可能な指標(KPI)に落とし込む作業が重要です。
具体例
- 受発注システムの導入により、手入力の工数(月80時間)を90%削減し、月8時間にする。
- 入力ミスによる手戻り(月10時間)をゼロにする。
「業務効率化」といった曖昧なスローガンではなく、「工数を月72時間削減する」という明確なゴールを設定することが、DX成功の鍵となります。
3.効果試算
目標が定まったら、目標を達成することで「どれだけの効果(リターン)が生まれるか」を試算しましょう。
効果を試算する際、改善対象となる業務プロセスを細かく分解し、各工程がどれだけ短縮されるかを把握すると、効果を正確に算出できます。
プロセス単位で可視化することで、改善幅を見誤るリスクが減ります。
効果試算の段階では、まだ金額に換算せず「どれだけの業務が改善されるか」という物理的な効果を明確にしましょう。
4.コスト計算
次に、ステップ3で算出した効果を得るために必要な「コスト(投資額)」を計算します。
ベンダーから提示された見積書だけで判断せず、人件費や人材育成費もすべて含めて算出します。
具体例:
- システム導入費(初期):300万円
- 月額利用料(運用):5万円/月(=年間60万円)
- 社員研修・教育費:40万円
- DX推進担当の人件費:120万円
- 投資額(1年目)=300万円+60万円+40万円+120万円=520万円
- 投資額(2年目以降)=年間60万円
経営者としては、初年度の「初期投資額」と、2年目以降の「ランニングコスト」を分けて把握することが重要です。
5.利益計算
ステップ3で試算した「効果」を「利益(金額)」に換算します。
具体例:
- 削減効果:合計82時間/月
- 担当者の平均時給(諸経費含む):2,500円
- 年間の利益額=82時間/月×2,500円/時×12ヶ月=246万円
ステップ3の「工数削減」という効果が、「年間246万円の利益」という、経営判断に使える数値に変わりました。
6.ROIの算出
最後に、ステップ4で算出したコストとステップ5で算出した利益の数字を使い、「ROI(費用対効果)」を算出します。
- 利益額(年間):246万円
- 投資額(初年度):520万円
- ROI(%)=(246万円÷520万円)×100=47.3%
今回の事例の場合、ROIが47.3%ということになります。
ROIがプラスであり、かつ自社の目標利益率や資本コストを上回っていれば、経営判断として「投資を実行すべき」と判断しやすくなるでしょう。
DXの費用対効果に対するよくある質問

Question1:なぜDXの費用対効果は「測れない」「測りにくい」と言われるのですか?
主に3つの理由があります。
- 効果が長期にわたる:ビジネスモデル変革など、効果が発現するまでに1〜3年かかる場合があるため。
- 定性効果が多い:従業員満足度や顧客体験の向上など、すぐには金額換算しにくい効果が多いため。
- 目標が曖昧:「DX推進」自体が目的化し、具体的な数値目標(KPI)を設定していないため。
この記事で解説した6つのステップを踏むことで、これら3つの課題は解決できます。
Question2:DXの効果が出るまで、どれくらいの期間がかかりますか?
DXの効果が表れるまでの期間は、投資規模や取り組み内容によって変わります。
RPAの活用やSaaSツールの導入による工数削減など、比較的シンプルな改善であれば、3ヶ月〜半年ほどで成果を確認しやすい傾向があります。
一方、データ分析を基盤にした新サービス開発や、事業全体の仕組みの見直しは、成果が出るまでに1年〜3年かかることが多いです。
短期で成果が見込みやすい施策と、中長期で成長に寄与する施策の両方を同時に進めることが、DXを成功させるうえで重要です。
Question3:定性的な効果(社員の満足度など)は、具体的にどう評価すれば良いですか?
「定量化(数値化)」する工夫が重要です。
例えば「従業員満足度」であれば、DX導入前後に匿名のアンケートを実施し、「業務のしやすさ(5段階評価)」や「会社への満足度(点数)」を比較します。
また、「離職率」や「有給休暇取得率」の変化を測定するのも有効です。
満足度が上がれば離職率が下がり、結果的に「採用・教育コストの削減」という定量的な利益としてROI計算に組み込めます。
例えば、DX導入で離職率が5%改善し、年間の退職者が2名減少したと仮定しましょう。
仮に1名あたりの採用・教育コスト(求人広告費、研修費、OJT担当者の工数など)が100万円かかっていた場合、『年間200万円の利益(コスト削減)』としてROI計算に組み込めるようになります。
Question4:ROIの計算はエクセルでもできますか?
はい、エクセルで十分可能です。ROIの計算式自体は「(利益÷投資額)×100」とシンプルです。
重要なのは計算式よりも、「利益」や「投資額」の根拠となる数値をどれだけ正確に洗い出せるかにかかっています。
まずはこの記事の「測定ステップ」に沿って、「コスト計算(初期・運用・人件費)」と「利益計算(工数削減×時給など)」の項目を一覧にしてみてください。
Question5:投資判断の基準として、ROI以外に見るべきものはありますか?
はい、最低でも「投資回収期間(Payback Period)」はセットで見るべきです。
投資回収期間は「投資した資金を何年で回収できるか」を示す指標で、キャッシュフローを重視する中小企業にとってROI以上に重要な場合もあります。
さらに厳密に評価するなら、将来のキャッシュフローの価値を現在の価値に割り引いて計算するNPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)も有効な指標です。
しかし、まずは「ROI(何%儲かるか)」と「回収期間(何年で元が取れるか)」の2つを確実に押さえることから始めましょう。
まとめ | DXの費用対効果は必ず測定しよう
この記事では、中小企業の経営者がDX投資で迷わないための基準として、費用対効果(ROI)の測り方、投資コストの考え方を解説しました。
DX推進で失敗する企業の多くは、導入前に「数字での評価軸」を持てていないことが共通点です。
まずは、自社で最も非効率だと感じる業務を一つ選び、この記事で紹介した費用対効果の測定6ステップを当てはめてみてください。
工数・コスト・効果を可視化するだけで、DX投資の判断精度は大きく向上するでしょう。
とはいえ、自社だけで費用対効果を設計しようとすると、「どこまでをコストに含めるべきか」「定性効果をどう数値化するか」で悩むケースが少なくありません。第三者の視点を入れたい場合は、DX投資のROI設計や効果測定の整理をサポートすることも可能です。必要に応じて、お気軽にお問い合わせください。
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